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Reportレポート

トラブル続出!泡食い踊る徳島インディゴソックス戦、裏方反省記。

ここは淡路島の南に位置する、とあるキャンプ場。

徳島インディゴソックスとの試合を終えた我々裏方チームは、雄大な自然に囲まれたコテージを借りて、打ち上げも兼ねたBBQをしていた。

炭を起こして肉や魚を焼いていると、猫が数匹寄ってきた。野良猫なのに毛並みが良く、やけに人懐っこい。おそらく、BBQをしにやって来る人たちが餌付けをしているのだろう。

全く人を恐れずに近寄ってくる猫たち。癒されるなぁ。こんなにすり寄ってくる野良猫は東京にいないから、可愛くてしょうがない。

堺シュライクスの球団オーナーである松本も、そんな猫たちと戯れていた。そして、戯れながら何か話しかけている。

「雨が降らにゃくて試合はできたけど、今日はダメダメだったにゃあ…」

球団オーナーとして、会社の経営者として東京でバリバリ働く松本が、珍しく弱音を吐いている。そして若干猫語になっている。これは余程のことがあったに違いにゃい。

はい、というわけで松本が思わず猫語で弱音を吐いてしまうくらいダメダメだった徳島インディゴソックス戦の反省記、始まります。

徳島インディゴソックスとの試合、天気予報は雨

6月28日、我々は徳島インディゴソックスとオープン戦を行うために徳島へとやってきた。

なぜ徳島ISと試合をすることになったのか?きっかけは、今年行われたシュライクスの開幕戦だった。

堺シュライクスは今年の開幕戦で、業者に頼らず「自力での実況生中継」を行った。延長にもつれ込む試合展開、博打感覚で起用した若手お笑い芸人の実況がめちゃくちゃハマるなど、様々な要素が噛み合った結果、初めての生中継とは思えないクオリティで放送することができた。

球団史上初!自力での実況生中継を行った2021年開幕戦に密着。

放送後、その中継を見ていた徳島ISの球団代表・谷田さんからオファーがあり、今回の対戦が実現した。

徳島インディゴソックスといえば、四国アイランドリーグplusに所属するチームで、2005年のリーグ加入後、数々の選手をNPBに輩出し、「独立リーグ日本一」との呼び声も高いチームだ。

現在、徳島ISのOBで現役のNPB選手は8名いて、その全てが支配下登録されている。

独立リーグからNPBへ。球団設立3年目の堺シュライクスが目指す形を体現している徳島ISとの試合は、選手にとっても球団にとっても良い刺激となるはず。

どう考えてもこちらが勉強させていただく立場なのだが、今回に限っては話が別。というのも、代表の谷田さんからは「生中継にどんな機材を使っているのか教えてほしい」と頼まれているのだ。

そこで、交換条件というわけではないが、この試合の放送権はシュライクスが持つことになった。

2021年7月現在、徳島ISのYouTube登録者数は約5000人。シュライクスの登録者数は約500人。その差は綺麗に10倍となっている。

この生中継がうまくいけば、徳島のファンにもシュライクスの存在を知ってもらえる。逆に、放送権をもらっておいて失敗なんかした日には、二度と四国の地は踏めなくなるだろう。

これは絶対に失敗できない。そんなプレッシャーを抱えて前日に徳島へ乗り込んだ。がしかし、6月の終わりと言えば避けられないのが、雨。そう、季節は梅雨。6月28日はしっかり雨予報となっており、文字通り暗雲が立ち込めていた。

一難去ってまた一難

距離にして650km、夜行バスと車を乗り継ぎ約10時間。交通費だってバカにならないし、ここまで来て中止なんてことは許されない。

前日入りした我々は、少しでも雨雲をずらそうとできる限りを尽くした。5分毎にYahoo天気をチェックしたり、てるてる坊主を作ろうかと本気で悩んだり、やっぱりてるてる坊主はいらないんじゃないかと議論したり、雨女で有名な平山さんに一旦心を無にしていただいたり。

なにが功を奏したのか、逆雨乞いの結果、15時までは雨雲を退けることに成功した。本来予定されていた13時からの試合開始を早めることで、なんとか試合を開催することができる。

ただ、こうなったらこうなったで別の問題が発生する。それは、「試合前に準備する時間が足りない」という問題だ。球場が使えるのが8時30分から。試合開始が11時。我々の中継班リーダーであるカンタケさん曰く、今の体制で完璧な準備を整えるには、最低3時間は必要だという。

8時30分ピッタリに入ったとして、準備に使える時間は2時間30分。ギリ時間が足りない。何事もトラブルがなく進んでも、間に合うかどうか。4名しかいない中継スタッフは皆、必死のパッチで準備に取り掛かった。

そしてトラブルが起きた。

試合開始20分前。ただでさえ時間がない中で、よりによってセンターカメラの映像が映らなくなった(画像右上と左上)。

堺シュライクスの中継では、3台のカメラを使用している。

・センターカメラ(バックスクリーン付近。固定)
・1カメ(1塁側スタンド席からの球追い用)
・2カメ(実況・解説席を映す用。固定)

センターカメラは中継の要で、これがないとどうにもならない。夜もヒッパレに赤坂さんがいないようなものだ。違うか。まぁとにかくヤバい状況だということ。

試合開始まで20分。中継班リーダーのカンタケさんが、トラブルの発生したセンターカメラのもとまで走る。本部から向こうまでは遠く、走っても5分はかかる。それでも、機材のトラブルを解消できるのは彼しかいない。

言い忘れていたが、4名いる中継スタッフのうち、カンタケさん以外はてんで素人だ。(ちなみにカンタケさんは動画制作のプロではあるが、中継に関してはプロではない)

今更ながら中継スタッフの紹介をしておくと、松本、平山、イムニーさんというメンバー。松本と平山は球団の親会社の人間で、イムニーさんに至っては、カンタケさんの前職(大手化粧品メーカー)の部下というだけで仕事を休んで手伝いに来てくれた、ただの良い人なのだ。(本来の仕事は保険屋さん)

カンタケさんがセンターカメラの復旧に向かったことで、「1カメの球追い誰やるの?」という状況となった。

カンタケさんは1塁スタンド席からの球追い、イムニーさんはセンターカメラ、松本はスイッチャー、平山はサポートというように、それぞれに役割がある。

僕の役割は何かというと、写真や動画を撮影して後日YouTubeをアップしたり、こうして記事を書いたりすること。中継スタッフではないが、一応忙しくしている。

ちょうど今も、始球式を担当するスレンダーパンダを撮影しようと待機中だ。スレンダーパンダが誰かって?ちょっと今それどころじゃないので、詳しくはこちらの記事を。

球団史上初!自力での実況生中継を行った2021年開幕戦に密着。

ここで、スイッチャー担当の松本が決断を下す。

“名前1”

「センターカメラが復旧するまで、1塁カメラと実況席カメラの2台で回すしかない」

そもそも3台しかないカメラが2台となった。しかも、唯一試合の様子を映す球追いカメラ担当のリーダーが不在。誰がやるの?…はい、僕ですよね。たしかに生中継できなかったら、ハイライトも残せませんからね。

スレンダーパンダの始球式を撮影しようと待ち構えていた僕は、急いで1塁スタンド席へと向かった。

試合開始10分前。

シュライクスのユニフォームを着たスレパンの二人は、楽しそうに始球式をしていた。動画におさめることは叶わなかったので、せめて写真だけでも残しておく。

こうして、球追いと実況席を映すだけのカメラ2台体制という、前代未聞の生中継が始まった。

トラブルは乗り越えたものの

1塁スタンド席に設置されたカメラを初めて触ったが、ガチなカメラすぎてボタンがたくさんある。これはたぶん、テレビで使うやつだ。変なとこを押して設定を変えないように、ズーム機能だけを把握して撮影に挑んだ。

試合は1回表、堺シュライクスの攻撃から始まったのだが、初回から1アウト満塁のチャンス。勘弁してくれよ。球場を映すカメラは1台なんだぜ?この状況でヒットが出たら、何を映せばいいんだ?打者?打球?それともホームに還ったランナー?言ってしまえば全部なんだろうけど、カメラ1台しかないからね。あわわわ。

クレヨンしんちゃんばりにパニックパニックしてると、打球は高く上がって外野へ。ライトか?センターか?

ふと、前回の開幕戦後の反省会で、カンタケさんが言っていた言葉を思い出す。

“名前1”

「映像はブレたらあかんな。ここって決めたら狙い撃ちや」

この間0,4秒。意を決してセンターを狙い撃ち。全然違った。ライトフライでした。でもブレたらあかん。画面はそのまま変えず、全く関係のないセンターをひとしきり映した後に、すかさずホームに還ったランナーを捉える。得点は入ったのか?入ったよな?堺シュライクス1点先制!

いやほんと、この記事を読んでいる人の多くは球追いなんてしたことないと思うけど、僕もしたことないんですよ。野球もルール知ってるくらいだしさ。めちゃくちゃむずい。状況判断もそうだし、そもそも打球がどこに行ったのかわからなくなる。

こちらのドタバタが伝わってしまったのか、1回裏、先発の亘輝は初球デッドボールを出してしまう。その後も毎回得点を許し、4回終了時点で1-5となっていた。

球追いにも慣れてきた5回表。センターカメラの映像が落ち着いたのか、カンタケさんが向こうからやってきた。

ようやく緊張感から解放されたせいか、一気に尿意が押し寄せてきた。慌ててトイレに駆け込んで用を足していると、球場から歓声が聞こえる。戻った頃にはシュライクスが2点を追加し、3-5となっていた。

しかしその裏、2アウト満塁の場面からの押し出し、デッドーボール、押し出しという散々なピッチングをしたシュライクスは、せっかく追い上げも虚しく、すぐに3-7まで離されてしまった。

その後はたいして見せ場もなく(しいて言えば中村くんのピッチングが良かったくらいで)、試合はそのまま9回裏を迎えることなく3-7で終了した。

*上記アーカイブは、6回までカクカクとした映像のため非常にストレスがかかると思います。あらかじめご了承ください。

どこか気が緩んでいるんじゃないのか?

試合終了後、肩を落としながら撤収作業をする中継チーム。開幕戦の放送が成功しただけに、今日の結果は散々だった。

そして、散々だったのは中継だけではなかったようだ。

以下、試合直後のミーティングでの様子を書き残しておく。

“名前1”

「なんやろな…単純に、今の状況から抜け出したいと思ってプレーするもんやないの?そういう意識を持てない、持ってるけど出ない、出せないっていうのが、君らの今の現状や。技量じゃないよ、必死さの問題や。ちゃんと自分らで考えて動かんと、ほんまに後悔するで。ただ単に「野球を続けてた」ぐらいで終わってしまうから」

どうやら今日の試合、あまり良い状態で臨めたわけではなかったようだ。

“名前1”

「普段はあんまりこうして話さへんけど、今日は喋らしてもらうわ。本当は畑(球団代表)だって今日来るはずやったけど、今頃スポンサー周りの営業やってくれてる。そうやってスポンサーに協力してもらえるようにお願いしてるから、みんながいま野球できてるってことを、改めて考えてほしい。誰とは言わんけど、ちょっと最近甘えすぎやで。もっと真剣に野球に取り組んでほしい」

自分でも言っているが、球団社長の夏凪さんがこうして試合後の選手に語りかけるのは、本当に珍しい。それほど選手の態度が良くなかったということだ。

控室で大西さんにも話を聞いた。

“名前1”

「試合前の練習やノック見てても、意識の高いところが全然見られなかった。正直ガッカリやね。やるのは選手たちで、僕らはあくまでもサポート。せやから言うことは言うけど、伝わらなかったら意味ないしな。それも含めて、監督である僕の責任なんかな…」

御三方の意見をまとめると、最近選手がたるんでいる、意識が低いとのことだ。

ここは敢えて名指しで書くが、今日の先発の亘輝が出した初球デッドボール。あれは絶対にやっちゃいけなかった。

今思えば、試合前に(まだトラブルが発生する前)今日の意気込みを聞きに行った際、「今朝の占いでサングラスがラッキーアイテムだったんで」と陽気にサングラス姿を見せていたが、なにがラッキーアイテムじゃ。そうじゃないだろう、前まではしっかりとコメントしてくれていただろう。3年目ということで僕との距離が近くなったこともあるが、そこはしっかりとした意気込みを聞かせてほしかった。

他の選手にも試合前にインタビューをしたが、カメラを前にして「徳島来るの初めてなんです」とか「徳島ラーメン食べたいな」とか、しょーもないコメントばっかりしやがって。観光ちゃうぞ。遠征費もバカにならんからな!

そもそも、徳島さんが試合組んでくれたこと自体が奇跡みたいなもんなんじゃ。まずはそこに感謝しとんのか?感謝してても、それが態度に表れてないと意味ないからな!

まぁそんなこと言ったら今回の試合の生中継で大失敗した中継班がいちばん罪が重いんですけどね!徳島インディゴソックスの球団代表・谷田さん!放送を楽しみにしていたファンの皆様!誠に申し訳ございませんでした!!!

ここからは、告知だよ!

今回の徳島戦。選手も裏方も、大いに反省が見える試合となった。

ただ、下を向いてばかりもいられない。

あらゆる失敗は成功に向かう一歩である。

さぁ気持ちを切り替えよう、大事なのは次だ、次!

ということで、今年もこの季節がやってまいりました。堺シュライクス真夏の一大イベント「バトスタデー」が今年も開催されます!

今年のテーマは「野球×お笑い」です。いよいよ血迷ったか?いいえ、大真面目です。バトスタデーにかける熱い意気込みは、ぜひこちらの記事でご確認ください!

「バトルスタディーズ」とコラボ第3弾!選手と芸人に、まだ見ぬ世界を届けたい!

読みましたか?読みましたね?

この記事を読んだ多くの皆様が応援してくれるであろうバトスタデー、もちろんやります実況生中継。

今度の生中継で失敗した日には、いよいよ道頓堀から投げ飛ばされかねないので、絶対成功させたいと思います、よろしくお願いします!!!

おしまい

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